モエレの競馬雑学

あめトークの競馬芸人では笑い話になっていましたが、大川さんが「ライアン」と叫んだ理由は笑い話にならない理由がありました。故人ではありますが、本人の名誉のために書き残しておきます。
　
　父アンバーシャダイが大好きだった大川さんが、ライアンを見た瞬間から父親にソックリ似ていて一瞬で好きになったそうです。そのライアンがデビューした年に６０歳にして初めて受けた健康診断で腎臓にポリープがあり、ほっといてしまっては夏も越せないということで、名古屋の病院で腎臓をひとつ取ってしまう大手術を受けました。
　翌年の春、桜の咲く手前の時期には一進一退を繰り返しながらも、大川さんの体調は快方に向かっていたその頃、名古屋ではちょうど中京開催が行われていて、主治医に「競馬に行きたい」と懇願して外出した日が『弥生賞』の行われた日だったそうです。そして中京競馬場でもモニターの前に陣取り、大好きなライアンが勝ち切るゴール前で「ライアン！ライアンっ！！」と叫んだらしいです。しかも当時は東西の競馬情報が乏しかった時代、西ではライアンはみんなにあまり知られておらず、驚いて大川さんの顔をみんなが見たそうです。
　そして有馬記念。オグリも全盛期には及ばず、クラシックで惜敗に終始したメジロライアンに勝機ありと考えて解説に臨んだのがこのレースだった。
　大川さんは後にも数回大病を負って、でも好きな馬の勇姿を心に刻み、懸命に生き抜いた。
　「病気というやつは、ダメだと思ったらダメらしい。だからライアンのことを思い出して、また競馬が見たいって思ってね。」
　
　シャンプーハットは馬券に特化した芸人でいいんじゃないっすか。
注記「光栄出版部・夢はターフを駆けめぐるⅣ～後方一気～」より参考